5シーズン連続無冠に何を思う


これに関してはアーセナルファンの間でも意見が分かれる。
ユナイテッドやチェルシーに比べればそれほど金をかけず、更には主力選手を何人も放出しながらこれだけのチームを作り上げたのだから十分って思ってる人もいるでしょうし、毎シーズン怪我人の多さを言い訳にしやがってって思う人もいるでしょう。


ちなみに私は、まず第一に強いアーセナルを見たい。これが満たされているかが重要で、これが無かったらシーズン終盤に悲観的に成らざるを得ない。せめて、強くなる兆候さえ見えてくればいいんですが。兆候が見えたのは06-07シーズンで、実際に強さを発揮したのが07-08シーズンかな。08-09シーズンはここ数年で最弱のアーセナルを見せられて、一時期は絶望すら覚えた。今シーズンはそんな08-09シーズンの次だったんで良くなったように見える人が多いと思うけど、その前までの数シーズンと比較すると実際はまだそれほどのレベルに到達していないってのが率直な見解ですね。


・09-10シーズン全体の傾向


昨季と今季を比較すると、トップスコアラーのゴール数が大幅に伸びています。昨季の得点王がアネルカで、たしか19ゴールぐらい。今季は20ゴールオーバーがすでに5人いて、トーレスやデフォーも18ゴール。多分だけど、昨季と今季を比較したらリーグ全体のゴール数も大幅に伸びていると思われます。印象としても、今季はあまり引いてガチガチに守るチームが無かった。ビッグクラブ以外で守りの部分が目立ったのはバーミンガム、フラム、あとはストークシティぐらいかと。全体的にアグレッシブさが目立った。


何でこんなこと書いたかって言うと、これが今季のアーセナルには良い方に作用したということ。ソングやディアビはプレスをかわす技術が高く、アグレッシブにいくチームに対しては相性が良かった。その一方、引いた相手に対しての打開策には課題が残った。数シーズン前は引いてくるチームが多かったし、相手がきっちりアーセナル対策してきたら今季のようなチームでは苦労するところが容易に想像がつきます。よって、現状維持は後退を意味する。


アーセナルの賛否


アーセナルは安易に金をかけた補強に頼らず、無名の若手選手にチャンスを与えてワールドクラスの選手に成長させるってのが基本的な方針。とはいえ、必要とあらば金をかけてアルシャヴィンヴェルマーレンといった選手を獲得している。たまに補強の話題を嫌うアーセナルファンがいるが、今いるアルシャヴィンやナスリ、ヴェルマーレン、サニャといった主力選手は余所のクラブと同じように金をかけて獲った選手であることを忘れてはいけない。数シーズン前のフレブやロシツキーも同じ。確かにいたずらに補強補強と言うのはどうかと思う部分もあるけど、ちょっとベンゲルの方針に毒されてると思う時がある。


それから、若手選手を育ててるのはアーセナルだけじゃないってことも忘れてはいけない。ユナイテッドだってエヴァンスやギブソンといった自前の若手選手をトップチームで育てているし、ナニやラファエウは若い。チェルシーは高齢化が進んでいるけど、下の世代にもカクタとか強力なタレントがいる。


他のチームと違うのは、アーセナルはビッグクラブの中では失敗に寛容であるということ。アーセナルはファビアンスキとかいくらミスっても使ってもらえるし、昨季のデニウソンとかにも同じことが言えると思うけど、ユナイテッドなんかだとナニとかは一時期干されかけてたし、フォスターは若干見限られた感がある。ちなみに、アーセナルは最終ラインのみベテラン選手が多いが、ユナイテッドは前線、中盤、最終ラインにも満遍なくベテラン選手は存在する。明らかにユナイテッドの方が若手とベテラン、更には中堅どころの選手を上手く融合させたチーム作りに成功している。




何か現状のアーセナルへの批判ばかりになってしまってるけど、短所に向き合うことが出来なければいつまで経っても修正は図れない。長年のGK問題にせよ、ベテラン冷遇の方針にせよ、無冠になる前あたりからずっと抱えている問題が、何の改善もなく重くのしかかっているという現実は直視しないといけない。