来季のプラン:システム編


アーセナルと言えば、ベンゲル就任以降は10年以上4−4−2を続けてきた。
2トップの片方はベルカンプだったので、4−4−1−1とも捉えられる。


05-06シーズンのCL仕様フォーメーションが4−1−4−1
この時はアンカーにジウベルトが入り、中盤は左からレジェスリュングベリ、セスク、フレブ。
1トップは当時最も脂が乗っていたアンリで、この時にCLファイナル進出を果たした。
この年はレーマンが神懸かってましたね。


06-07でも一時期は4−1−4−1
この時はレジェスがマドリーにレンタル移籍し、リュングベリも出場機会が少なかったので、
ファン・ペルシーを左サイドに回したりしていた。
ただ、引き分け試合が多く結果がついてこなかったので4−4−2に戻した。


07-08では、ファン・ペルシー離脱以降、エドゥアルドやベントナー
2トップでなかなかフィットしなかったので、フレブをトップ下に置く4−2−3−1が増えてきた。
年明け〜バーミンガム戦までは、エドゥアルドがフィットしてきたので4−4−2に。
ミラン戦ではピルロ対策と中盤の構成力を意識し、フレブをトップ下に。


08-09は再び4−4−2に、ただ終盤戦では今の4−3−3に近い形になっていた。


09-10から本格的に4−3−3へ変更。
ソングをアンカーに据え、セスクとディアビを手前に置き、
ファン・ペルシーが1トップを務めるシステム。
ファン・ペルシー、ベントナー不在時はアルシャヴィンが1トップを務めたりしていた。
途中から徐々にセスクがトップ下っぽい位置を取ることが増えてきた気が。


10-11はその流れを汲み、セスクがほぼトップ下。だけど結構中盤に下がってくる頻度は高い。
中盤の底は2センター気味にし、ソングとウィルシャーが入った。




大まかにフォーメーションの変移を書いたけど、ポイントはやはり中盤の構成になる。
4−4−2以外を選択したところに着目すると、まずは05−06
この時は、CL決勝Tでマドリーと当たったので、中盤のやや低めの位置にブロックを作る守備を形成。
おそらく、ベンゲル政権史上で最も守備の決まりごとがきっちりしていた時期です。
当時は左SBが怪我人続出でフラミニを入れたり、右もローレンがシーズン絶望でエブエがデビューと、
かなり思い切った選手起用が目立っていた。
偶然だったのか必然だったのか、当時は割とハードワーク出来る選手が多かったです。
それが06−07で上手くいかなかったのは、アンリが前線でハードワーク出来なくなったことと、
左がレジェスファン・ペルシーでこちらも縦の運動量が低下、あとはリュングベリまで不在で
何となく中盤の得点意識が低下していたことが考えられるかな。
1トップの影響が一番大きい。


フレブトップ下のシステムは、アーセナル史上で最も中盤の構成力が高い。
ただ、その肝心なフレブの得点意識が低いので、怪我での離脱者が増えるにつれて
ゴールはアデバヨール頼みになっていきましたね。
良い頃はアデバがそんな決めなくても、色んな選手でゴール決めていたので、
そのへんが終盤の失速にも影響したかと。
フレブが移籍した後も、これに近いシステムは幾度となく用いられている。
ただ、フレブみたいなボール運び出来る選手は今のアーセナルには見当たらないですね。
一番近いのはナスリだけど、前述のように彼はそこまで中盤の構成力に影響を及ぼすタイプではない。


4−3−3に関しては、その直前のシーズンの課題が中盤の守備力低下(特に中盤の底)があって、
対策として手っ取り早いのが中盤の枚数増やすことだった、
それに加えてウォルコットの台頭、アルシャヴィンの加入があった為、
両翼をより攻撃的な位置で起用したかったというのがあるかと。
これで1トップになったので、ファン・ペルシーかアデバヨールかの選択が必要だったわけだけど、
ベンゲルの答えは現状を見れば明らかですね。
アデバを放出したのは、ファンとの関係悪化もあったけど、
ベンチに置いた場合の雰囲気とかも考えてのことだったのかなーと。
その後のシティでのマンチーニとの確執を考えると、その点での判断は正解だったと言えそう。
ただ、マドリーでモウリーニョはベンチに置いても上手く飼い慣らしてますけど。
まあそこは選手層の厚さと顔触れを見れば、文句言える状態じゃないw


話戻ると、来季はこのまま4−3−3で行くのかという話。
4−3−3にして中盤の守備の課題が解決したかってのが一つの論点になると思うんだけど、
実際のところは解決していないと見ています。
中盤の量を増やし、1人はフィジカルの強い選手を置いているので、
単純な攻撃は跳ね返し易くなった。そこは確かだと思う。
ただ、中盤に攻撃的な選手しかいないのが問題。
最も守備的なのがデニウソンで、その次がソングだが、いずれも長所は攻撃面。
例えば私見ですが、ソングは言われるほど守備では効いていません。
ポジショニングが良くないし、守備範囲も広くない。
だからカウンター食らった時に遅れて反応してカードを貰う。
勿論、これはソング1人の問題じゃなくて、結局攻撃が停滞⇒全体を押し上げ⇒攻撃偏重という
悪循環が生み出しているものでもあります。
更に言えば、全体が前がかりになったところで、攻撃力が比例して上がるわけでもない。


守備に関しては、中盤の3センターだけでなく、両翼にも問題がある。
今のところまともに守備してるのはナスリぐらいで、他は単発が多い。
なので、このまま4−4−2にしたところで、センターもサイドも守備に穴があれば
中盤の守備は更に悪化するのが目に見えている。
結局は、08-09シーズンの課題に対するアプローチで、
選手の意識を変えていないから堂々巡りする羽目になっている。


ちょっと話戻すと、2トップから1トップにしたのは、特に無敗優勝以降のシーズンで、
アーセナルの2トップに適応したFWが少ないというのが理由の1つにあるのかなーと。
無敗優勝以降、まともなFWだったのってアンリ、ファン・ペルシー、アデバヨールしかいない。
アーセナルが肝心なところで勝ち切れないのは、その肝心なところでの決定力不足も
1つの要因にはなっていて、それは≒FWのクオリティ不足でもある。


ここまで考えて行くと、4−4−2にシステム変更するなら、
尚更補強という道は避けて通れないことになる。


結局、フォーメーションやらシステムってのは11人の選手達を最も活かす手段でしかないので、
来季のシステムについても当然のこと、選手の質ありきになってきますね。