総括その3


ミッドフィルダー


印象としては、これまで見てきたアーセナルの中盤の中でも
今季は最低の部類に入る出来だった。
昨季の中盤が近年でも最高傑作と言えるほど強力だっただけに、
たった1年でこうも変わるものかと。まあ、主力2人移籍するわ
ロシツキーが1シーズン復帰出来ないわで、事実上あの中盤は崩壊したんですが。


昨季のアーセナルミランに匹敵するほどの中盤の構成力があった。
現在のアーセナルと比較すると、セスクがゲームメイクを担う点は変わっていない。
昨季はそのセスクを後ろからフラミニが支えていた。
DFラインからのビルドアップにはほとんどフラミニが絡んでいて、
セスクは前目の位置でゲームコントロール、チャンスメイクに徹することが出来た。
さらに、セスクの近くには常にキープ力のあるフレブがいて、
状況次第でドリブル、パスを巧みに使い分けた。ただし、シュートは無し。


それに対しての今季の評価だけど、まずは中盤の底から。
終盤戦まではデニウソンが中盤の底に固定された。
夏にCHの補強を失敗した時点でデニウソンを選択したというのは一定の理解は出来る。
ソングはオリンピック後の合流で当時はまだまだ体が重く、全体的に鈍かった。
デニウソンも状況判断は悪いけど、運動量はあったので
セスクのサポート役として期待していたところはあったと思います。
で、実際デニウソンの何が良かったか、悪かったか考えましたが、
パスの選択自体は実はフラミニとはそこまで大差無いように思いました。
フラミニも結構横パス、バックパスの方が印象的には多いです。
ただし、攻守におけるフリーランニングの質には雲泥の差がある。
あとはボールコントロールの早さも。
フラミニはこれが出来たから横パスと言っても
サイドチェンジの中継点としての役割を果たしていたし、
相手のプレッシャーを素早くかいくぐることが出来た。
デニウソンはただフラフラ動いてるだけでボールを貰う意識をあまり感じないし、
ボールコントロールの時間をかけてしまうから相手に寄せられて窮屈なプレーになる。


それにしても、何故ベンゲルデニウソン固執したのか。
理由としては、単にデニウソンよりもマシなのがいなかったからかなーと。
ディアビにしろソングにしろデニウソンよりも運動量が無く、
何よりも流れを切るプレーが多かったので固定し辛かった面はあると思います。
デニウソンがどこかでフラミニみたいに覚醒してくれたら良かったんですが、
意外にも先に成長してきたのはソングの方でした。
運動量が増えてきて、体のキレが戻ったのか競り合いにも強くなった。
元々ソングの方がデニウソンよりもチャレンジしてたし、妥当な流れなのかも。
ソングに関しては、安定感はまだフラミニに及ばないものの、
パスの質はソングの方が良いと思う。
あと、ソングの最大の長所はフィジカルの強さを活かしたプレス。
あれだけプレスで相手を潰せる選手ってのはアーセナルではヴィエラ以来だと思う。
ただ、ソングの欠点としてまだまだポジショニングが悪い。
だから中盤の底を任せるのは少々恐い面もあるんですよね。
現時点での適正ポジションはリヨン時代のエッシェンみたいなポジション。
しかし、ビルドアップだとかスペースを埋める動きをもっと意識的に出来るようになれば
ソングは更に成長出来ると思います。
ただ終盤戦残念だったのが、ソングがレギュラー奪取したのがここ1ヶ月のことなので
中盤の連係を深めるには時間が足りなかったですね。
ユナイテッド戦の敗因の一つが、チームとしての熟成度、完成度の差だったので、
ソングに限らず中盤の選手がここ1年でガラリと入れ替わっていたのはきつかった。
あとはシーズン通してセスクのコンディションがイマイチだったのも。


ディアビに関しては、セスク不在時はそれなりにやってくれたかと思います。
ただ、欠点である状況判断の遅さとか運動量の少なさはまだまだ改善が必要だし、
怪我が多いのが成長を遅くしている節はありますね。
まだ、ポテンシャルだけでプレーしている域を脱していないです。


やっぱり長くなってしまったので、両サイドについては日を改めます。