来季を見据えて〜その6


その5まではわりと無難な話ばっかしてきました。
そろそろ際どい話になります。
そろそろというか、これがほぼ最後なんですが。




中盤から前に対しては、後ろの選手に比べれば圧倒的に攻撃力が求められる。
各クラブ、色んなやり方があって求められるものは若干違ってくるし、
アーセナルの選手となればそれはより複雑だ。


しかし、今回はもうちょっとシンプルに考える。
アーセナルの中盤から前線にかけての強化ポイントは攻撃面のみに絞ることが出来るから。
守備面に関して言えば、今でも十分なクオリティがある。
しいて言えばフィジカルバトルに対する強さがもっとほしいところだけど、
とりあえず守備的MFに関してはフラミニ、ソングでいけると踏んでいる。




強化ポイントは簡単にいえば、中と外。
個人的な考えとして、FWかMFか、というのはさほど重要ではない。
ただ、AとB、という言い方をしたように、個人的には2人必要。
スペイン国籍を取得すればチームに復帰しそうなベラを含めれば3人。




まず、ベラが復帰すれば起用法は今季のエドゥアルドと似たような感じになるでしょう。
FWが本職だけど、オサスナではサイドでプレーする機会が多かったですからね。
何度か流して見た程度だけど、サイドに開いた局面でのプレーに関しては
エドゥアルドに劣るとは思わない。むしろ、ベラの方がキレは感じるし、
サイドに開いた状態でならベラの方が若干分があると思う。
ただし、PA内での技術、勝負強さに関しては圧倒的にエドゥアルド。
むしろ、これがエドゥアルドの真骨頂ですからね。
それでもベラが復帰すればそれなりにチームの底上げにはなると思う。


ただ、それだけでは今季前半戦よりも弱いままのアーセナルだ。
理由は↑で既出。
エドゥアルドのPA内での技術、勝負強さとは、いわば得点力・決定力に直結する。
そのエドゥアルドが来季開幕時までに復帰出来ないのは確実で、
来季中に復帰したとしてもどこまでトップフォームに戻れるかは不透明。
そのエドゥアルドの空いた穴を、ベラが全てカバー出来るとは思えないから。




さっき中と外って言ったけど、それぞれ何を求めてるかって言うと、
中に関しては決定力、あるいはチームの総合的な得点力アップ。
外に関しては、文字通り外のエリアを有効に使えること。




中の強化の話から入りますが、センターラインが大概のチームの基盤になる。
今季のアーセナルで言ったらセスク、フラミニ、フレブ、アデバヨール
ユナイテッドは選手層の厚いCHとルーニーテベス
リバプールマスチェラーノ、ジェラード、トーレス


そして、多くの得点を重ねている選手というのは大抵センターラインに属する。
各国リーグの得点ランク上位を見ると、数人の選手を例外として
FWをはじめとするセンターラインの選手が上位に名を連ねている。
例外として挙げられる筆頭がクリスチアーノ・ロナウドだが、
彼はユナイテッドだからこそあそこまでゴールを決められる。
ユナイテッドはルーニーテベスといったFWが下がり目からのチャンスメイクを得意とし、
かなりの割合でゴールに直結するプレーに専念しているロナウドのスコアが伸びるのは当然。
他のクラブでプレーするなら、ユナイテッドで決めている半分決められれば良い方だろう。
他はサイドから中に切り込むプレーを得意とするメッシ、
周囲との連携含めて得点への嗅覚のあるマキシ・ロドリゲスやピレス、
ワイドの選手で今コンスタントにゴールを決めているのはこれぐらいだろう。
ちょっと前に遡ればリュングベリネドヴェド、ジュリあたりか。




いずれにせよ、サイドを強化しようとしたところで
サイドアタッカーで得点力の高い選手を探し当てることは難しい。
少なくとも、現在3大リーグやドイツに該当する選手は少なく、獲得も難しいということ。
アーセナル自体、4-2-3-1や4-1-4-1でサイドにFWが本職の選手を置くことはあるが、
それらの選手がサイドで起用されて奪ったゴール数は相対的に見るとかなり少ないし、
単純に得点力狙いでの補強は難易度が高く、リスクも大きいということ。


だったら、そこは定石通りセンターの選手に任せた方が早い。
そして、アーセナルのセンターラインに手を加えるとしたら、
それがどの部分に該当するのかは明確だ。




現在のアーセナルのセンターラインにおいて、セスク、アデバヨールは間違いなく不動の選手。
調子の良い時のセスクは前線に何度も顔を出して点も取れるし、
あまり良くなくても最低限ゲームの組み立てはそつなくこなす。
昨年の怪我明け以降のセスクは連戦続きというのもあってコンディションが悪かったけど、
ミラン戦など見れば分かるように両チームの粒ぞろいの中盤の中でも頭一つ抜けていた。


アデバヨールポストプレーも現在のアーセナルには不可欠な要素となっている。
アーセナルの中盤は以前だとヴィエラプレーメーカーとして中盤に推進力を与えていた。
今はセスクを中心に細かいパス交換でボールを運び、ゲームを作る。
その中において、アデバヨールが動いて楔となり、攻撃に奥行きを生みだす。
ファン・ペルシーは最前線に位置するにはフィジカルが弱く、ベントナーはボールが持てない。
他のFWの特性を考えてみても、アデバヨールが代えの効かない選手であることには間違いない。




あとはセスクのパートナーとして、セスクよりも守備的なCHをチョイスすることになる。
そう考えていくと消去法でフレブのところに手を加えるしかなくなる。


そもそも、今季開幕当初はアデバヨールファン・ペルシーが不動の2トップで、
出番がなくてベントナーが散々不満を漏らしているような状態だった。
ただ、ペルシの怪我によって他のFWを出さざるを得なくなったが、
エドゥアルドはトップチームに混ざっても消える時間が長く、
ベントナーは先発で使うには荷が重い。
アーセナルの攻撃においてセンターラインの選手が1人ゲームから消えることはかなりマイナス。
その為、プレシーズンで感触を掴んでいたフレブのトップ下が主な選択肢となったが、
問題はフレブが開幕前後に比べシュートへの意識があまりに無かったことだろう。


基本的にフレブのトップ下を使うケースっていうのは、


・中盤で優位に立ちたい時
・試合終盤の逃げ切り態勢に入った時
・他に使えるFWがいない時


この3点になる。
今季のアーセナルは押し込まれるとDFライン(というかCB)が弱い為、
中盤でポセッションを高め優位に立つ必要があった。
実際、フレブをトップ下に置いて純粋に中盤勝負で負けた試合は無いと思う。
チェルシー戦のあれはDFラインの崩れから中盤も崩されたという感じでしたし。




だが、ポセッションを高めるというのは手段であって、目的であってはならない。
今季のアーセナルはポセッションという面では多分欧州でも一番だった。
でも、サッカーは相手よりも多くの点を取るゲームで、
2月以降のアーセナルはそのゲームの要領を理解していたとは言い難い。


その最たる要因がフレブにあるってことですね。
今季アデバヨールの次にゴールマウスに近いエリアで長くプレーしているのに、
ゴール数がフラミニと1つしか変わらないというのは明らかに欠陥があるわけで。
シュート打たないんでゴール数が伸びないのは当たり前ですけど。
今季のフレブは加入以来最高のパフォーマンスだったし、
チームにとってかなり不可欠な存在であったことは間違いないです。
ただ、これがサイドプレイヤーの一角としてチャンスメイクで貢献したのなら十分満足ですが、
トップ下の選手として評価するなら最も重要な要素が欠けていたという評価になる。
まして、フレブがトップ下に入る=アデバ1トップなわけで、
アデバヨール自体ストライカータイプじゃないんだからトップ下もゴール狙うのは最低限の義務。
アデバヨールが今季20ゴールをマークしてるけど、
後半戦のチームのアンバランスさ故の結果とも考えられる。




以前、来季の構想ベストメンバーとしてフレブを挙げなかったのはこんなところです。
少なくとも、来季のベストな状態でフレブがトップ下に立つことは考えられない。
フレブは完成された選手で、今季かなりの自由を与えられてあれなんだから
これからも改善するとは到底思えませんし。
その為にも中で点の取れる選手の補強が必要になりますが、
その選手にはアーセナルの攻撃の組み立てへの早期適応が求められることになります。


どんな選手が噂に挙がってるかとか、どんな選手が合いそうだ、なんて話は次の機会に。
ワイドの選手についてもその時に。