アーセナル関連。今日はいつもより長いです。
読む人によっては不快に感じる内容かもしれません。




センデロスのローン移籍について。




移籍先がどことかはどうでもいい。
どうでもいいけど、どうでもいいから最初に触れておくと、
これはミランにとってもセンデロスにとってもいい話だと思う。
アンチェロッティがちゃんと使ってくれるならの話だけど。
ミランにとってはDFの若返りは急務となっていたし、
センデロスも多くの出場機会が必要だった。
それに、アーセナルよりもセリエの守備の方がセンデロスには合っていると思う。
だからミランにとってもセンデロスにとってもいい。




では、アーセナルにとってはどうか。
アーセナルにはセンデロス以外にも主将のギャラス
唯一の無敗優勝経験者となったトゥレ、同じスイス代表のジュルー、
あとは何故かベンゲルからCBとして期待が寄せられているソングがいて、
今夏新たにシルヴェストルがチームに加わった。
枚数だけなら全く問題は無い。
ベンゲルが言う通り、CBは十分に多い。
しかし、選手層以上に質は重要となる。


センデロスに関してはその能力を疑問視するアーセナルファンは少なくないし、
今回の件についても意見は割れるだろう。
実際、俺がこれから書く見解とゲンさんの見解を見比べれば全然違うと思う。


別に俺がセンデロスに全幅の信頼を寄せてたかと言えば全くそうでもないし、
今回の件を不満に思ってる人の大半も多分そうだろうとは思う。
だって、ポカは多いし、そこから崩れていく脆さもある。欠点を挙げていくのは簡単。
でも、センデロスがいなくなった後のアーセナルDF陣について
欠点を挙げるのはそれ以上に簡単だ。


まず、大型FWを据えたパワープレー、ポストプレーに極端に弱い。
これはトゥレとギャラスを組ませた場合に必然的に起こる問題で、
単純に体格の違いによるリーチ差とフィジカル能力の差をカバー出来ない。
数年前であれば、トゥレはキャンベルを筆頭にエアバトルに強いDFと組むことが
多かった為、それほど気にならなかったし、
ギャラスだってクラブではデサイー、テリー、カルバーリョ
代表ではテュラムといった強力なDFとばかり組んできたので問題にはならなかった。
しかし、トゥレとギャラスでは前述のDFのように自身の弱点をカバー出来ないどころか、
両者ともに全く同じ弱点を持っている。
タイプも一緒だから、結局相性も悪く連携の部分も弱い。
そして、もっと問題なのは昨シーズン終盤からチェルシーリバプールを筆頭に
相手は確実にこちらの弱点をついてくる。
先日敗戦を喫したフルハムもすでに研究してきていた。
彼らはもう若くないし、どちらかと言えば若いトゥレに関しては
2シーズン前から明らかにコンディション含め安定感が損なわれていっている。


他のCBに目を向けると、ソングもトゥレやギャラスとほぼ同じ体格で、
そもそも純粋なCBではないので同様の問題が起こる可能性が高い。
ジュルーに関しては上背はあるものの、フィジカルバトルでは実績ゼロどころか
2シーズン前はそれで相手FWにコテンパンにやられたあげくセンデロスと交代。
(チームはその後逆転勝ちしている)
昨シーズンはバーミンガムにローン移籍したが、ポカが多いのは変わらず
復帰後すぐ怪我で残りのシーズンを棒に振った。
今季はまだほとんど実績が無い。相手雑魚ばっかだし。
大した場数も踏んでないのにセンデロス以上に当てにするのは正直どうかと思う。
シルヴェストルはそもそもCBとして安定感がある方ではないし、
ここ2シーズンは怪我に泣かされ年齢とともにフィジカルコンディションの低下が懸念材料。



その点においてはセンデロスが空中戦負けなしかと言えば違うけど、
彼が最も果敢に競り合えるのは今までの試合からしても明らかで、
CBの競り合いまでカバー出来たジウベルトがいなくなってしまった以上、
センデロスまで失うことはアーセナルが空中戦に勝利する手段をほぼ失うことを意味する。
それに対して、プレミアの攻撃はFWを狙ったロングボールってのが
わりとオーソドックスなスタイル。
最近は繋ぐチームも増えてきたけど、ほとんどのクラブには前線に高さのある選手がいる。
センデロスのプレミア適正に疑問符がつくのは分からんでもないが、
CB2人合わせての適正で言えばトゥレとギャラスほどプレミア適正の低い組み合わせは
多分プレミアその他のどのクラブを見渡しても存在しないだろう。




大体、ギャラスを活かすにしてもトゥレを活かすにしても、
センデロスタイプのDFとの相性が良いことは
05−06のCLの躍進、ACN期間中のギャラスセンデロスで明らかなはずなんだけど、
センデロスが大ポカをするとベンゲルがすぐ使わなくなるから長続きしない。
トゥレやギャラスはいくらミスしてもメンバーから外されることはないのに。


それに、シーズン終了時アーセナルが無冠に終わった理由について
攻撃面ではなく守備面に問題があると言い、
補強についてもパワフルなCBを狙うとか言っておきながら
実際は逆に弱体化させようとしているのが理解出来ない。
今回の流れにしても、急にシルヴェストルが来たのでセンデロスを出すことにした、
みたいな急遽決まったようなことが重なっているように見える。
どのような敗因分析をしたのか知らないけど、
「経験」なんて不確かなものでその問題を埋められるという結論に達したのか・・・


何で空中戦一つにこんなうるさいかと言うと、いくら中盤を強化しても
後ろが安定しなければアーセナル全体が機能不全に陥るから。
アーセナルは繋ぐサッカーをしていくから、
攻撃の大半は最終ラインからのビルドアップで始まるし、そうでなければ機能しない。
守備が駄目なら攻撃にも多大な悪影響を及ぼすわけだから、
特に守備に分かり易い弱点を作ることは好ましくない。
そして、今回の件はその弱点をあまりに明確にしてしまう。


ちなみに、足元の技術にしたって実際はゲームに影響を及ぼすような大した差はない。
この間のソングみたいに長いパスを通せるぐらいじゃないと、違いは出てこないわけで。




本当は移籍市場がクローズするまでは溜めておくつもりだったけど、
今夏のアーセナルの姿勢には疑問符を通り越して不満が募っている。
即レギュラーを任せられるCBとCHを獲得しなければ今季のアーセナルは厳しいが、
すでにここまで大きく遅れを取っている。
仮に移籍市場が閉まるギリギリに大型補強を敢行したとしても、
ラムジー等若手の獲得を優先し、大事なプレシーズン期間を
ベンゲルが大好きな若手選手の試用期間にしてしまった時点で
いくらか時間を無駄にしている。